アルコール中毒の35歳に仕上がるまで・7
前の彼女と別れ、新しい彼女と付き合うことになった。
この彼女とは、この記事を書いている2017年7月現在も付き合いが続いている。
新しい彼女は、お酒が一滴も飲めない。
これはこれで、全く新しいパターンだった。
今までできた彼女も、離婚した前妻も、全く飲めないということはなかったからだ。
正直、つまらないことになるかもな、と思っていた。
素面の人間の前でひとり酒に酔うのは、私が考える飲酒シチュエーションの中でも最も居心地の悪いものだ。ゆえに、彼女との付き合いの中で酒が減るかもしれない、という漠然とした予感があった。
そして、その予感は彼女と居る時間のみにおいて的中した。
彼女の家へ泊まりに行き、夕飯を食べて寝るまで、多くても缶ビール350ml×1。
彼女は小さな湯のみに、その350mlから数ml入れて、乾杯の真似事だけする。
それをくいっと飲み干して、「美味しい」と言う。
これでおさまれば、いかに健全な付き合いか。
彼女は健康の天使として私の前に降り立った、神様の使いだ。
だが、そんなうまくいくはずもなかった。
私は、彼女の家に行く前に350ml×2ほど酒をあおって行くようになった。
ブレスケアとガムを併用し、さも飲んでいないかのような顔で
彼女の家で新たに缶ビール1本を空けた。
離婚する前の結婚生活と全く同じ。
もちろん、彼女が私の酒を咎めたことは一度もない。
「たまにならいいじゃん」と勧めるほどだ。
でも、私は知っている。
酒を飲まない人に、酒飲みの価値観を共有しようとしてはいけない。
言葉を真に受けて、缶ビール6本入りなんて買ってきてぐいぐいやりだした日には
その場で怒り出すか、静かに距離を取り始めるだろう。
だから、隠れて飲む。飲んだ後、飲んでないかのように振舞う。
何で、あんなに飲みたかったんだろう?楽しくもなんともない酒。
ただ流し込んで、安心した気になるだけの酒。
そんなもん飲んでる間に家に行けば、そこに彼女が待ってるのに。
今思うと、いろんなハテナが浮かんでくる。